アカデミックリソースガイドのメルマガに寄稿したものを記します。

6000字以上あるので、お時間あるときにでもご覧ください。

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「ツブヤ大学アラカルト」

望月大作(ツブヤ大学統括プロデューサー)

 

終わりのない旅の中にいるような感覚がある。「ツブヤ大学」のプロジェクトについて、まだ終わりは見えていない。壮大なプロジェクトというわけではない。地道な積み重ねが紡ぎだすプロジェクトだ。

とあるスポーツ選手が言っていた「積み重ねてきたもの以上が出ることはない」という言葉。これはまさに自分のやっていることにも当てはまる。

Twitterで「粒谷区」が出来たことから「ツブヤ大学」のプロジェクトは生まれることになった。そう、ただ何気なく書いたこと、本当に粒谷区の大学みたいなものがあればな。これくらいのノリから「ツブヤ大学」は始まった。

もちろん初めからNPO法人を作ろうなんてことは、そのときは全く思っていなかった。ただ今と同じようにゆるゆると面白いものがつながっていければな。と最初から思っていた。

「ツブヤ大学」にとってSNSは、自分にとってはとても有益なツールとなったのだった。SNSというものが、まだこの世界になかったときには考えられないようなスピードで、物事は積み上がっていくことになった。それは日常の中にある小さな小さな地道な積み重ねも、次々と積もり、そして加速されていくような感覚。行動を起こせば起こすだけ、何かが出来上がっていく感覚が、「ツブヤ大学」のプロジェクトにはあった。自分にとってそれは快感に近いものだったんだろうと思う。だからこそ、今のいままで続いているんじゃないかと思う。

その一方で「ツブヤ大学」を全く立ち上げていなかったら、現在関わりがあるだろう方々とは全く出会ってもいなかっただろう。と考えると感慨深い。要するに、それは無我夢中だったといことと近しく、逆にいうと、ぶっきらぼうで危なっかしいということだった。

久しぶりに会う人たちに言われることは、だいぶ大人になった。という趣旨の言葉をもらうことが多く、それは裏を返せば始めた当初のあまりの危なっかしさを暗に示している(今も危なっかしさは変わりませんが)。

今でこそ、本当にいろんな分野で活躍している方々に「ツブヤ大学」には出演していただいている。もちろんこれは、いろんな積み重ねとある種の偶然が重なりまくった結果だ。

ツブヤ大学がNPO法人となったきっかけは、いわゆる今で言われるところのソーシャル系大学のほとんどがNPO法人の運営だったことがまずあって、それとNPO法人を設立する際のスタートアップ資金が全くかからないことが「ツブヤ大学」が法人設立時にNPO法人を選択するきっかけだった。NPO法人を設立するまでの1年程度は任意団体として活動をしていた。

自分の何となしのきっかけから、「ツブヤ大学」が徐々に本格的な行動を開始したきっかけは2つあった。1つは「ツブヤ大学」に興味を持ってくれた人がいて、特別講座として軍平ナイトというイベントが開催されたこと(軍平ナイトは現在ツブヤ大学でシリーズ化されている)。落語家立川こしら(落語家立川流真打ち-12月に休養より復帰予定)と出会ったことが始まるきっかけとなった。

ツブヤ大学はRaKuGo講座1回目をUstreamを使ってリアルタイムに配信し始めてからは、もう現在に至るまで、リアルイベントかネット配信かはあるけれど、ずっと毎月何かコトは起こしている。その小さな積み重ねが積み重なって積み重なって今がある。

また、そもそも僕自身が思いつきを形にしたがることに起因して、その当時流行を見せ始めていたUstreamだったら、どこでも環境さえあれば見せることが出来る。だから、これを使えばいいだろうというところが実際にコトを起こしたきっかけで、そのときは今のようにネット環境がこうでないといけないとか、これだと配信をすることが出来ないとか、いろんな制約も分からないまま突っ走ったため、場所選びなどには本当に迷惑を掛けたことを覚えている。少し呆れられながらも、当時から一緒に活動してくれている方々には本当に感謝している。

これはそもそも論になるかも知れないし、今もたまにあることだけど、「シブヤ大学」には間違われることがある。名前もかなり近しいし、真似した疑惑もあると思う。でも実際に参加した人たちは、「ツブヤ大学」と「シブヤ大学」が似て非なるものだということは、容易に分かるはずだし、分かってもらいたい。そもそも目的が違うわけだから、敵対なんかもするはずもないし、目指す場所も違うのだ。

ツブヤ大学の得意とするジャンルがあるとすれば、その出来たきっかけからも分かるとおり、ITやその周辺の話題から3Dプリンターなどのギークな話題を中心に、マンガやアニメなどのサブカルチャーやいわゆるポップカルチャーに強さを発揮する。そして、そのほとんどの場合において、いろいろな方とコラボレーションすることで企画は成立している。

また行う企画の内容としては、基本的にはワークショップ形式よりも、トークセッション形式を採用することが多い。ただ、その中でも予定調和のよく有り体なトークセッションでは、ツブヤ大学らしさは生まれることはない。どこかでカオスな場を創造するために、必ず予定調和をずらすための策を考えているのは大きなツブヤ大学の特徴かも知れない。一見「えっ、何でこの人?」みたいな組み合わせを作ることが、結果的に予想よりも面白いものが作られると今までの経験からそう信じている。

それを狙いすぎるあまり、最初は全く台本なしでやる。なんてこともやったりして、初対面同士のゲストが少し戸惑うなんてことももちろんあった。でも、個人的には今もそのスタイルのほうが、とてつもない面白さを生み出せるんじゃないかと期待しているけれど、それは場合によりけりだということも学んだ。

その組み合わせについていえば、もちろんツブヤ大学が始まった初期のころは、ほとんど組み合わせる手数が限られていたし、それこそどんどん面白そうな人をTwitterなどで見つけてはアプローチをしてみる。ということの繰り返しだった。見方を変えれば、それはある種の営業活動にも近いかも知れない。

今でも全く初めての人にアプローチする場合は、ツイッターやFacebookを利用することもある。そのほうが格段にアプローチしやすいのだ。

自分が大学生だったころ、やっぱり今と同じような感じで大学ではよくゲストを呼んで講演会を企画したりしていた。その頃のゲストへのアプローチ方法は、もう10年以上も前になるのでもちろんSNSなど影も形もない頃だったから、地道にテレアポからのFAXで企画書を送る。というようなことを繰り返していた。そういった経験がたぶん今の活動の原点にあるんじゃないかとも感じる。

その頃に比べると今は雲泥の差に近いものがある。大学生の頃のアポ取りで苦労した経験があるから、自分にとって今はとても様々なことが最短距離でやりやすくなったと感じるのかも知れない。

ツブヤ大学はNPO法人という法人格は持っているけれど、専任の職員が常駐しているような団体ではない。一緒に活動をしているメンバーは基本的に本職を持ちながら、ツブヤ大学の活動を行っている。それを世間では片手間と捉えられてしまうかもしれないけれど、決してツブヤ大学は片手間なクオリティーのものを提供しているとは思っていないし、そう捉えられたのなら、ツブヤ大学主催のイベントには全く誰も参加してくれなくなるに違いないと思う。

専任を置かない理由は明確でそれだけで全てを保証できるものを持っていないからに他ならない。もちろん専任で出来るほうがリソースを集中出来るメリットもあるけれど、逆に怖さを持っていたりもする。ずっとやっていて感じることはやはりイベントは水物だということ。もちろんただ闇雲にやっている訳ではさすがにないので、この企画だったらこのぐらい人が来るだろうとか、今このぐらいの参加予定者がいるから、当日の参加者はこれくらいになるだろうとか、そういったことはだいぶ知見が貯まってきている。

でも、やはりやってみなくては分からないという側面は必ず一方では存在しているし、絶対に自信のある企画であってもリリースするまでは常に不安がつきまとうのは事実としてある。

ただ現実には「やる」か「やらない」の二択しかないわけで、常に僕自身は前者を選択してきた。「ツブヤ大学」をやっていて思うのは、責任を持つことの大切さは小さな組織ではあるけれど強く感じる。最終的に意思決定するのは言い出しっぺである自分なので、そこはここ数年ですごく鍛えられたと思っている(思っているだけかも知れないけれど)。

イベントについていうと、もちろんSNSなどで告知をすれば、それを見た方々が参加をしてくれる側面はすごくあって、特に「ツブヤ大学」に出演してくれる人たちの力は非常に大きいものがある。でもそれだけで全てが充足するかといえば全くそうではないと思っている。

やっぱり一対一というコミュニケーションの積み重ねが地道につながっていくと思っているし、今や何でもかんでもFacebookなどはイベント招待を送れてしまうので、正直イベント招待を送っただけでは完全に埋没してしまう。だから多くの人はきっと面倒臭いと思うかもしれないけれど、自分は面白がってくれそうな人には、煙たがれるかもしれない可能性も厭わずに、実施するイベントの連絡を皆それぞれに送る。もちろんイベントの性質などで全てその対応をしている訳ではないが、出来るだけそれは欠かさないようにしている。メーリングリストだったり、一斉メールだったりはあまり好きじゃないので、来てほしいイベントは手間とかそういうことは度外視して一人ひとりに連絡をしている。これは初期のころから本当に変わらないことで、もはや習慣化している。

習慣化しているとそんなに苦にはならないのかもしれない。もちろん連絡をした全員が全員来てくれることほど嬉しい事はないけど、実際はそんなことはほとんどない。例えば100人に連絡して10人も来てくれれば良い方だと思っている。それを積み重ねていけば徐々にその数は増えていくと思っていて、実際に「ツブヤ大学」のイベントの参加者は年々増えているし、安定的にもなってきている。

そんな一連のこれまでの活動は同じシリーズをバリエーションよく続けてみたり、また新しい組み合わせを組成したりして続いてきた。奇しくもツブヤ大学がここまで続く契機になった軍平ナイトの名前にもなっている任天堂の技術者だった故・横井軍平氏は枯れた技術の水平思考を提唱していて、僕自身も企画の出演者の組み合わせやテーマは常に新しいものだけを追うのではなく、うまく混ぜ合わせることによって、より新しい価値観やその場でしか生まれないものが出来るのではないかと考えている。

NPO法人としての話をすると、「ツブヤ大学」はNPO法人ツブヤ・ユニバーシティーとして現在5期目に入っている。皆がそれぞれ本業を抱えながら行っている組織である都合上、経理や税務、書類作成など法人に関わる業務の一切について自分が担当をしている。

これまでいろいろな企画をやっていて、そのときどきで支援をしていただく企業に恵まれたこともあったけれど、現在のところスポンサードなどは全くない状態で運営を行っている。イベント企画ごとの来場者収入がNPO法人としての主な収入源となっている現状がある。

これだけでは厳しいことも分かっているが、補助金や助成金に頼る方向ではないところで、収益を定常的に確保する方法を考えないといけない。今までのコンテンツを上手く活かす形と、Webサイトなどを上手く利用し、新たな収入源を模索する動きを加速する必要があり、いま一番の課題はここだろうと認識をしている。

また多くの人との協力で成り立っているので、そのコラボレーションの数をさらに増やすために実験的な取り組みもどんどんと取り入れていく必要もある。

まだまだやるべきことは多く、そのなかで地域的なことも常に頭のなかにあった。横浜市で法人登記をしているものの、イベント開催をする場所の多くは都内で開催するケースが多かった。やはり多くの方に来てもらうには都内で開催するほうが都合が良い場合が多く、逆に横浜で開催する際には本当にいろんなやり方を試したものの、集客に結びつく結果を得ることが難しく正直なところ嫌気が指してしまったこともあった。完全に独りで集客をするような状況に陥ってしまっていたことが、それに拍車をかけてしまった。

けれど、それも現在では立て直しに成功し、30名以上の方が来てくれるようなものを毎回開催出来るようになった。理由は単純明快で「独りじゃ無理だしチームにしよう」という簡単な答えだった。基本的に「ツブヤ大学」のチームは都内で行う企画が中心のメンバーのため、横浜やその他で企画をする際はどうしても、僕自身の比重が多くなる。そのため、横浜開催の際は横浜で行うためのチームを作るのが一番効率良いと考えたのが最適解となった。

横浜では少しクリエイティブに寄った企画を開催し好評を博している。集客にしてもちょうど良いバランスでの集客が実現していて概ね満足している。

最後にそんな「ツブヤ大学」の近況を書いてこの文章を終えればと思っている。

直近でツブヤ大学はDMMニュースとの共催でのイベント企画の開催をしている。10月に開催をした最初の企画ではやまもといちろう氏とDMM.com会長の亀山敬司氏による対談を開催し、参加申込がわずか半日で完売する盛況ぶりになった。

11月には、過去5年間開催している同志社裏EVEを16日に同志社大学にて開催する。このイベントはKADOKAWA「関西ウォーカー」同志社大学政策学部多田ゼミ、そして「ツブヤ大学」の共催で行っている。27日には漫画家のうめ先生との完全クローズドイベント「ツブヤケナイ大学」が開催になる。これはマンガ「スティーブズ」の打ち合わせする現場を公開で行うという刺激的なイベントで創作者には非常に参考になるだろうと思う。

12月には2本のイベント開催が決まっていて、1つは12月10日に、東京R不動産の吉里さんなど4人のプロフェッショナルの方々がグッとくる建物についてトークをするという意欲的なイベントの第二弾を開催する。これは8月に開催した際、非常に刺激的な内容となったので今回2回目の開催が決定した。先の企画もこの企画も神保町のコワーキングスペースEDITORY神保町での開催。EDITORYではほぼ最多のイベント開催をしている。

12月19日には崎陽軒とコラボする形での企画を横浜で行う予定で準備を進めている。ただ崎陽軒とコラボするだけでは面白くないので、その辺りの出演者の人選は意外な組み合わせになっている。意外性が意外なほど馴染んでマッチする、そんなイベントになればと思っている。

最後の最後に、この原稿を書いている最中、落語家立川こしら氏が12月1日に休養から復帰するという話が飛び込んできた。個人的に本当にお世話になっている方の復帰なので素直に嬉しい。

「ツブヤ大学」に行けば絶対面白いものをやっていると、誰もが認知してもらえるものをこれからも提供するべく、フットワークの良さも利用して、がむしゃらに試行錯誤を繰り返していきたい。出来る限りの遠回りがとっておきの近道になることを信じて。

ツブヤ大学 http://univ2289.com/

 

 

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